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ショーケースのご紹介

アールデコ期に製造されたショーケースに中で、ひと際希少性の高い作品が存在します。

特徴を挙げるとすれば、

三次局面のオパックガラスで作られた天頂部

ミラー張りの背面と底面

ガラスの棚板

真鍮製のフレーム

木製の引出し付きの土台

内蔵された照明設備

これらの特徴を備えたショーケースはアールデコヴィトリーン、アールデコディスプレイケースもしくはただ単純にヴィトリーンと呼ばれ、日本に留まらず世界各国のコレクターの間で高い人気を博しています。ヴィトリーン(Vitrine)はフランス語で”ショーケース”の意です。中にはドームトップのガラスが破損しているものもありますが、それでもなおその希少性から流通しているものも存在するほどです。ドーム部分は3次局面という特殊な形状をしていますので、作り直すとしてもかなりの費用がかかることを覚悟しなければなりません。

アールデコヴィトリーンは20世紀初頭に宮殿や最高級ホテル、豪華客船のホールやロビーを活躍の場とし、その洗練されたフォルムでゲスト達を魅了していました。その内部に飾られていたのは、ケースに見劣りしない宝飾品や骨董品といった高級品の数々であったことでしょう。

しかし栄華を誇ったアールデコヴィトリーンも徐々にその数は少なくなり、今では大変貴重な存在となってしまいました。現存する数少ないヴィトリーンは高級ブティックで使われているのを見たことがある方もいるかもしれません。

現在当店に在庫しているもののメーカーは”Delarue-Picard”。ガラス扉の一番下にメーカーを指し示す真鍮プレートが取り付けられております。ですがこの種のアールデコヴィトリーンのメーカーはその他にも”Siegel Paris”、”Lena Paris”、”Joly&Co”等複数存在します。プレートが付いておらずメーカーが特定できないものもめずらしくはありません。

扉の施錠方法は少し独特。指の形に沿った形状をした持ち手を上方へずらすと扉が開き、閉じる時は扉を少し内部へと押し込みながら持ち手を下方へとはめ込みます。閉じる時はカチッと音がしますが、パズルのピースが嵌まるような感覚で隙間なく完全に密閉されます。中に展示されたものが空気が触れないように配慮されていると考えられます。

知る人ぞ知るアールデコヴィトリーン。これほどまでに均整のとれた美を持つショーケースは世界に数えるほどしかないかもしれません。

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