ジェネミッションとは
作家のご紹介
アールデコ期に活躍した作家にジェネミッションという人物がいます。
ジェネミッションと表記すると1人の作家のように見えますが、実はそうではありません。ジェネミッションはフランス語表記にすると”Genet et Michon”。”et”は英語でいう”and”の意味合いですので、”Genet”と”Michon”の2人の人物が浮かび上がります。
フィリップ・ジェネット(Philippe Genet) と ルシアン・ミッション(Lucien Michon)は1911年に家具・照明の製造会社”Genet et Michon”をパリにて立ち上げました。そして1919年以降は特にシャンデリアやテーブルランプ、ウォールランプといった照明、そして花瓶を中心とした工芸品の制作に力を入れてゆきます。当時これらの照明は現フランスの大統領官邸であるエリゼ宮殿や領事館、省庁向けにデザインされました。
ジェネミッションの作品はアールデコの影響を強く受けており、無色で厚みのあるプレス成型のガラス作品が多く残されています。幾度に渡る試行錯誤の結果、薄いガラスよりも厚みのあるプレス成型ガラスの方が反射率と明度の点で優れていることを発見しました。また、明るさや光の柔らかさを損なうことがないように無色のガラスにこだわりを持ちました。
またジェネミッションは1920年代にはラリックと並んで、球体の天吊灯を初めて製作したことでも知られています。写真はテーブルランプですが、このデザインのボールが複数連なった天吊灯はジェネミッションの代表的な作品です。
1925年にはパリ万国博覧会、通称アールデコ博覧会にて最優秀賞を受賞しました。そしてその後、ジェネミッションは1935年に建造された客船ノルマンディーのために照明をデザインしたと言われています。
ジェネミッションの多くの作品にはラリックやドームのようにサインがありません。カタログ・レゾネや当時刊行されていたアート雑誌をもとに作家が特定されます。