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魅惑のインレイ

本日はアンティーク家具の装飾として主流であるインレイについてご紹介したいと思います。

インレイとは日本語で象嵌(ぞうがん)。象嵌とは、家具の表面に文様を彫って、他の素材をはめ込んで装飾を施す技法のことを指します。読んで字のごとく、地となる1つの素材を”象”どり、異質の素材を”嵌”めこむ装飾方法です。

皆さん上記の楽器を一度は教科書で見たことがあるのではないでしょうか。

こちらは正倉院所蔵の螺鈿紫檀五弦琵琶。

実はこちらの日本の歴史的な楽器にも象嵌技法が用いられています。

嵌め込まれている素材は貝。この花の装飾は、貝を文様に切り、表面にはめ込まれていて表されているのです。

はめ込まれる素材には、貝の他に様々なものがあり、木材や象牙、鼈甲も用いられます。

アンティーク家具でもっとも多くみられるのは木材。

木材が用いられる象嵌は木工象嵌と呼ばれています。

インレイ(象嵌)のデザインパターンは大きく分けて2つ、マーケットリーとパーケットリーに分けられます。マーケットリーとは、植物や動物、花や楽器といった絵画的意匠の象嵌細工のことを言います。特にアラベスク模様は様々な意匠と組み合わされて使用されるため、多く見受けられます。

こちらはリボンと杯の組み合わせ。

こちらのキャビネットの白いお花には、象牙が嵌め込まれています。

 こちらはクォータリングの技法を用いた天板に合うよう、同じ蔦のモチーフがシンメトリーに展開されています。

上記のマーケットリーは植物がふんだんに用いられる傾向がある分、生き生きと生命力に溢れて有機的。

一方パーケットリーとは、幾何学模様やヘリンボーンといった無機的なモチーフの象嵌細工を指します。日本だと箱根の伝統工芸品として寄木細工の箱が有名ですよね。

 こうしたストライプの線象嵌であったり。

このような太陽の光条を象ったモチーフも存在します。この種の象嵌には具体的にロゼットもしくはロゼッタという名称が与えられています。

今回は種々さまざまなモチーフの象嵌細工をご紹介しました。アンティーク家具を購入する際には、全体的な印象や機能性だけではなく、こうした細部の装飾にも意識を向けてみてはいかがでしょうか。

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