マホガニーの時代とその後
1721年から輸入木材への関税が撤廃され、西インド諸島から高級なマホガニー材が簡単に輸入できるようになりました。彫刻しやすいマホガニー材の輸入が始まり、「マホガニーの時代(1720-1770 約50年)」となります。これが、貴族の間でマホガニー家具が流行する契機となります。
家具デザイナーのトーマス・チッペンデールが家具のイラスト本「The Gentleman and Cabinet-Maker’s Director」(紳士と家具職人のための指導書)が出版された後、ジョージアン時代の家具はマホガニー一色となりました。
1740-60年の20年間は、マホガニー材の家具を中心に、あらゆるデザインが網羅されました。1760年から産業革命も始まったことで、英国家具は黄金期を迎えます。
新しいデザインが次々に現れ、用途に応じた家具が多岐にわたって製作されます。
ジョージアン様式
ジョージ1世からジョージ4世まで続く80年間は「マホガニーの時代」を渡って「ジョージアン様式」と呼ばれています。
正確には1720年~1760年までの初期ジョージアン(Early Georgian)と1760年~1800年までの後期ジョージアン(Late Georgian)に分けられます。

古典的なデザインの様式が復活していき、ロココ様式から派手な装飾をとって、左右対称の直線的なデザインに仕上げたネオ・クラシックスタイル(新古典主義)が誕生します。
イギリス経済の成長期で、中産階級が台頭したことから優れたデザイナーが活躍したイギリス家具師の黄金時代ともいえます。
トーマス・チッペンデールをはじめロバート・アダム、ジョージ・ヘップルホワイト、トーマス・シェラトンなどもこの時代。

「サテンウッドの時代(1770年から1800年)約30年」
1770-1800年くらいまではサテンウッドとローズウッドがもてはやされましたが、
キングウッドやオーク、エルム、いちい、メイプルなど様々な木材が使用されました。
サテンウッドの時代は、デザイナーが中心となって流行を創り、凝った装飾に向いた構造材、精巧なインレイを表現するための多様な材料が使用され、後の家具作りに多大なる影響を与えた時代だったといえます。
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18世紀の末イギリスは多様性を持つ社会となっており、時代別に流行を分類することは難しくなりました。様式で分けるとまだまだたくさんの様式がありますが、「木材の時代」で分けると多様な材料が使用される時代にシフトしていきました。