【概説】英国王朝史
【概説】英国王朝史
エリザベス様式、クイーンアン様式、ジョージアン様式、ヴィクトリアン様式…。
アンティークの家具を見ていると、その時代の君主の名前を冠した様式名にぶつかると思います。
今回は、一つ一つの様式の特徴を把握する前提として、英国史上どのような王朝が成立していったのか見てゆきたいと思います。
歴代に英国を統治してきた君主の名前と順番を覚えるのは骨が折れます。
なのでまずは大きなカテゴリーとして王朝の名前とその順を把握すると良いと思います。
ノルマン朝(Norman)
↓
プランタジネット朝(Plantagenet)
↓
ランカスター朝(Lancaster)
↓
ヨーク朝(York)
↓
チューダー朝(Tudor)
↓
スチュアート朝(Stuart)
↓
ハノーヴァー朝(Hanover)
↓
ウィンザー朝(Windsor)一応記憶するための語呂合わせもあります。
英語にはなってしまいますが、
No Plan Like Yours To Study History Wisely
イギリスの学校で子供たちが王朝を覚えるために使っている語呂合わせで、単語1つ1つが歴代王朝の頭文字になっています。
No → Norman
Plan → Plantagenet
Like → Lancaster
Yours → York
To → Tudor
Study → Stuart
History → Hanover
Wisely → Windsor
<チューダー朝の系譜>
ヘンリー7世
↓
ヘンリー8世
↓
エドワード6世
↓
メアリー1世
↓
エリザベス1世
王もしくは女王の名がつく様式の中で一番古いものは、エリザベス様式です。エリザベス1世(1558-1603)はチューダー王朝最後の女王。スペインの無敵艦隊を破ったという話は歴史の授業で1度は習ったのではないでしょうか。生涯結婚することなくその身をイギリスに捧げた女王であるため、ヴィクトリア女王と並んで非常に人気があります。「私はイギリスと結婚した。」という彼女が残した言葉も、もしかしたら聞いたことがあるかもしれません。
<スチュアート朝系譜>
ジェームズ1世
↓
チャールズ1世
↓
チャールズ2世
↓
ジェームズ2世
↓
メアリー2世・ウィリアム3世(共同統治)
↓
アン女王
クイーンアン様式のアン女王はスチュアート朝の最後の女王。
彼女の時代に、イングランド王国とスコットランド王国における同君連合体制は終止符を打ち、2つの王国が合同しグレートブリテン王国となりました。
<ハノーヴァー朝>
ジョージ1世
↓
ジョージ2世
↓
ジョージ3世
↓
ジョージ4世
↓
ウィリアム4世
↓
ヴィクトリア女王
続くハノーヴァー王朝が家具の黄金時代と言えます。
ハノーヴァー朝初代から4代目まではジョージの名がつく国王が統治します。
ジョージ1世、ジョージ2世、ジョージ3世、ジョージ4世といった具合です。ジョージ1世から4世までの時代に流行した様式はジョージアンスタイルと呼ばれます。正確に言うと、ジョージ4世に関してはリージェンシー様式となりますが。
そしてウィリアム4世の統治時代を経て、時は大英帝国を築き上げたヴィクトリア女王の治世に入ります。
ヴィクトリア女王の治世は1837~1901年までの約65年間。現在はエリザベス2世に抜かれてしまいましたが、最も長い在位期間の記録を誇る女王でした。産業革命の恩恵を最大限に受け、英国史上最盛期を迎えました。そんなヴィクトリア女王の時代に流行した様式がヴィクトリアン様式です。
正確に言えば、ハノーヴァー王朝後、1901~1910年までサックス・コバーグ・ゴータ王朝がありますが、この王朝の国王はエドワード7世ただ1人。ですが、エドワーディアン様式として名を残しています。
そして最後に現在も続くウィンザー王朝に入ります。
今回は歴代の王朝と様式に名を残す主要な英国国王と女王を、ざっくりとですが、紹介しました。特に王朝の順序を語呂合わせとともに覚えておくと、様式を順序立てて理解するときに便利ですよ。